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音楽讃美第7回:中島みゆき『夜会VOL.4 金環蝕』

※このカテゴリー「音楽讃美」は、世間でいうところの音楽レビューになるのでしょうが、僕としては自分が聴く音楽は全部最高に自分が好きなものばかりなので、星がいくつなどという「評価」はしません。とにかく自分が触れている音楽作品を讃美しようというカテゴリーです。基本的にネタバレを含むので、ご注意ください。それでは、どうぞお付き合いください。


『夜会VOL.4 金環蝕』は中島みゆきの『夜会』シリーズの中でも「笑い」に注目したかなり異色の作品です。「金環蝕」という現象を媒介に、天文学者と日本神話の世界(『古事記』と『日本書紀』)がリンクするという内容ですが、ほとんどのシーンは神話側です。


「アマテラス」どころか『古事記』の概要まで知っていないと、何が何だか分からないという意味での敷居の高さは、後に上演された『夜物語』と同じ雰囲気を感じさせます。ただ、『夜物語』に比べると『金環蝕』の方が既存の楽曲をベースにしている点で、予備知識がなくとも楽しみやすいでしょう。


神話の世界のセリフは『古事記』から引用されているところもあり、日本神話好きにはたまらない作品かもしれません。


途中、中島みゆき演じる「ウズメノミコト」が爆乳になって「真っ直ぐな線」を歌うシーンがあるのですが、これは日本神話を知らない人からすると「中島みゆきやべえ…」と確実になります笑
「ウズメノミコト」は「アメノウズメ」のことで、天の岩戸に引きこもったアマテラスを誘い出すために官能的な見世物を披露し、八百万の神を笑わせたという日本神話に基づいています。中島みゆきは大学で文学を学んでますから、その造詣の深さを感じさせます。


終盤の「EAST ASIA」からエンディングまではただただ圧巻。美しく踊って歌う中島みゆきが見られます。
「EAST ASIA」はファンの間では「天安門事件」というイメージが先行しがちですが、実はもっと多様な解釈ができる楽曲だと僕は思っています。凄く個人的な歌でもあるし、「天安門事件」という特定のテーマとも捉えられるし、もっと普遍的なことを歌っているようにも聞こえます。『金環蝕』では「言葉の実験劇場」にふさわしく、「EAST ASIA」が日本神話という文脈で再構築されています。


最近では「二隻の舟」以外、すっかり書き下ろしの曲ばかりになった夜会ですが、この段階ではまだそれまでリリースされた既存の楽曲が新しい表現で歌われているので、日本神話を知らなくとも「ライブ」という観点で楽しめる秀作です。


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