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音楽讃美第2回:鬼束ちひろ『ENDLESS LESSON』

※このカテゴリー「音楽讃美」は、世間でいうところの音楽レビューになるのでしょうが、僕としては自分が聴く音楽は全部最高に自分が好きなものばかりなので、星がいくつなどという「評価」はしません。とにかく自分が触れている音楽作品を讃美しようというカテゴリーです。基本的にネタバレを含むので、ご注意ください。それでは、どうぞお付き合いください。


久々のアルバム『syndrome』に合わせて行われたツアーを記録した鬼束ちひろの映像作品『ENDLESS LESSON』は、バンド形式の「FLAME」とピアノオンリーの「ROSE」の二枚組から成ります。


何といってもここ数年、かなり声の調子が悪かった彼女ですが、このライブでは完全復活と言うより、良い意味で新しい鬼束ちひろを見ることができます。二枚組のディスクは曲目自体は全く同じですが、両方とも全く違う楽しみ方ができます。


アルバム『DOROTHY』は恐ろしいほどに名曲揃いにも関わらず、恐らく声の調子の悪さも影響してここ最近のライブでこのアルバムから披露した曲と言えば「蛍」くらいでした。ところが『ENDLESS LESSON』では最新アルバムから全曲、そして『DOROTHY』からも「それ聴きたかった!」という曲が「そう来るの!!」という曲順でやってきます。かなりシビれます。


僕はもし鬼束ちひろの声の調子が回復したとして、恐らくそれは鬼束ちひろの精神状態の安定とともにやってくると思っており、実際に先日結婚していたという報告があった通り、彼女の心身が安定した結果がこのライブだと思います。


ただ、調子が回復したら昔の曲はどうなるんだろうと思っていました。「月光」は歌い続けるでしょうが、たとえば「call」なんかは今後歌うんだろうかと。ところが、CD音源として発売された一つ前のアルバムでは「茨の海」まで歌っており、『ENDLESS LESSON』では「BORDERLINE」を見事に歌い上げています。


鬼束ちひろは過去の曲を現在の自分で表現するという決意をした、そんなインパクトをこのライブから感じられます。


そして、「月光」の後に歌った「火の鳥」、特に「ROSE」でのこのフィナーレは鬼束ちひろがただ単に「復活」しただけではないということを物語っているでしょう。


多くの鬼束ちひろファンにとって、「鬼束ちひろのライブ」は『NINE DIRTS AND SNOW WHITE FLICKERS』で時が止まっていたのではないでしょうか。そうだとしたら、鬼束ちひろの時計の針がゆっくりと動き出したのがこの『ENDLESS LESSON』かもしれません。


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